景虎日記

無駄な考え、無駄なあがき、無駄な偏愛と偏見による電子書籍とWeb小説、その他もろもろの記述。

音速でコミケ用サークルサイトをやっつけて思ったこと。

f:id:kgtr:20150823120714j:plain

 どうも。俺だ。景虎だ。

 俺が常日頃思っていることではあるが、近年特にWEB制作にまつわる難易度が恐ろしい速度で下がってはいやしないだろうか?

 かつてはあまりめぼしいモノがなかったが、最近ではwixやstrikingly、JimdoといったWEB作成サービスがかなりお洒落なサイトを手軽にさくっと作れてしまえるようになっているし、Tumblrを用いれば、特設サイトやポートフォリオサイトを一瞬で作ることが出来るテンプレートもあるらしいではないか?

 

 

 (ちなみに、こっちのイラストサイト用のテーマも凄い。佐野さんのファンであるという多少贔屓目の部分もあるだろうが、それを抜きにしても素晴らしいモノだ)

 

 

 無論フルスクラッチで一から作るとなると、それなりに時間と知識は必要にはなるが、Bootstrapなどのフレームワークをベースに作れば、レスポンシブデザインのサイトが一日もかからず作れてしまうだろう。

 「何だよそのチート」と俺は度々思ってしまうよ。

 大昔に、テキストサイトをしこしこ作っていたあの頃を思い出す度に、今は本当に便利すぎると常々思う。俺が作ったサークルサイトはWordpressだが、あれも完成するまでには30分もかからなかった。本当に恐ろしい時代になったものだと思う。

 

表現にかかるコストが失われた時代の問題

 そう、今はもはや表現にかかるコストが極限までに失われていっている時代だとも言えるのだろう。小説を書きたいと思ったら、別に出版社を通さなくてもいい。すぐに書いて公開してしまえばいい。漫画もそうだ。イラストも勝手に描いて公開すればいい。ゲームもそうだ。簡単に作って簡単に公開できるだろう(多少妥協すれば)。自分のサイトが作りたければ、恐ろしく簡単に作ることができる。

 しかし、それ故に問題もやはり発生していくのだろう。

 たしか、何かの記事で世界のウェブサイトの数が10億件を突破したというのを読んだことがあるが、おそらく今はもっと増えて20億位はあるのではないだろうか?

 そう、まさに二十億の針である。

 

20億の針 (創元SF文庫)

20億の針 (創元SF文庫)

 

二十億の針について

 二十億の針という小説を読んだことが無い人向けに、ざっとさわりだけ紹介しておこう。これは宇宙から探偵の宇宙人と逃亡犯の宇宙人が訪れ、それぞれ人間に寄生し、両者の追跡劇が地球上で展開されるというものであるが、無論、

20億の人間のなかの1人に潜む犯人をみつけるのは、藁(わら)小屋の中で1本の針を捜すのに匹敵するほどの至難事

な訳である。俺が言いたいのは、まさにこの二十億の針とも言えるような状況の事である。表現にかかるコストは減っていっているが、表現を見つけて貰うためには今まで以上のコストがかかるようになったのではないかという事だ。

 

万人がクリエイターになれる時代は来ない

 誰もが作家になれ、誰もがサイトオーナーになれ、万人がブロガーをやり、同時にイラストレーターであり、作曲家であり、ゲームクリエイターたり得る時代だと人は言う。しかし、漫然と牢獄で小説を書き続け、その後も誰にも読まれることの無かった人物を、キミは作家だと思うだろうか? 俺は少なくとも思わない。

 それで収入を得ていようと、いなかろうと、読者がいればこそ、誰かに観測されてこそ、その人物はクリエイターだとわかる。しかし、この20億の針の世界がやがて、70億になった暁には、俺たちの中で果たして何人がクリエイターで在り続けることが出来るのだろうか?

 結局の所、もはや必要が無いと思う人もいる「出版社」というモノは、結果として必要性に重みを増していくだろうし、公平な比較機関なども多く生れるのかもしれないが(Googleがそれだと俺はあんまり信じたくは無いがね)、

 ネットで多くの人が、どれだけ離れていても繋がることが出来る、己の表現を伝えることが出来るなどという幻想が立ち消え、やはり面と向かった繋がりでしか、俺とキミはクリエイターで在り続けられないと気づく日もそこまで遠くは無いのだろう。

だからこそコミケというモノに参加するのだ

 何だか話がもの凄く飛躍しまくっている感じもあるが、つまり、ネットに漫然と記事や作品を投下していくだけでは、これからの時代、一人のクリエイターとしてやっていくのは難しくなっていくのだろうという事だ。

 ネットという場ではやはり新人は埋もれてしまう。だからこそ、リアルの中に拡張された表現の場へ参加することに異議が生れるのである。俺自身がコミケに参加しようと決めたのも、そう考えたというのが大きい。

 そこにはネットではありえないような巡り合わせがあるだろうと、少なくとも俺は信じている。

 そうだ。キミも両方あった方が良い。ネットとリアルと両方だ。

 もしリアルがあるのであれば、ネットの方は簡単だ。安心してくれて良い。

 なんなら、俺が作っても良い。ものによるけれどな。

 それでは、失敬。