キミは筒井哲也の「予告犯」をもう読んでいるよね? えっまだなの?
どうも。俺だ。景虎だ。
今回はキミにどうしても尋ねたい事があってこの記事を書いている訳なのだが、キミは既に「予告犯」というマンガを読んだことがあるだろうか?
筒井哲也という比較的グロめかつヘビーな題材を取り扱っている俺がオススメしたい漫画家の一人が書いた作品なのだが、少し前に映画化などもされ、海外での評価も非常に高まってきているらしいのである。
で、尋ねるわけだが、キミは既に「筒井哲也」を知っていたかね?
既に予告犯を読んでいたかね?
えっ? まだ読んでない?
それはいけない!
今すぐに読まなくてはもったいない!
という、若干茶番じみた書き出しになってしまったが、本当に面白い作品なので、今回は少しだけ真面目になって紹介していきたいと思う。
準備はいいかね?
筒井哲也について
彼は、元々は月刊少年ジャンプで連載していた作家ではあるのだが、実際に作品が評価を集めるようになってくるのは、自身のサイトで公開していたウェブコミックによってである。
それからというものメキメキと評価を伸ばし、特にフランス国内では非常に高い評価をおさめている作家なのである。
特にウェブコミックで最初に当たった作品というのが「リセット」という作品で、またまたえぐい内容の作品なのではあるが、比較的若いときに読んで衝撃を覚えた記憶があったりする。
ゲームと現実「リセット」
リセット 新装版 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者: 筒井哲也
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2015/06/06
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (1件) を見る
これは、現実とゲーム、現実と仮想の境目が見えなくなっていくという一見一発ネタと思われそうなアイディアから始まっている作品ではあるが、一ページも目を離せない映画になっても遜色のない作品になっている。
いまや、現実が仮想に取って代わるくらい仮想という物がありふれた日常の中に侵食しているような気がするが、そんな怖さを描いた作品として、今読んでも古くささを感じさせない作品だとも言えるだろう。
バイオホラーかと思わせて意外に社会派「マンホール」
そしてマンホール。
マンホール 新装版 上 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者: 筒井哲也
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2015/05/19
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
こちらも秀作だ。一見するとグロさが目立つし、バイオホラー系の作品なのかと思われそうだが、その後の作品にも見られるような社会派サスペンスの要素が贅沢に詰まっている一品になっている。
ただ、少なくとも俺は、これをブックオフでなんとなく立ち読みしてトラウマを覚えたがね!!
有害都市では表現規制を
そのほかにも表現規制というタイムリーな話題を取り入れた作品「有害都市」も面白い。
これは特に日本の表現規制の今を知ることが出来るという意味でも意味がある作品だと思うし、個人的にはその中で表現されている作中作も是非読んでみたいと思わされた作品だ。
特に、これが現実に即したものではなかったとしても、これから先どうなるのだろうかと心配にさせられる社会派作品になっているのだった。
という風に、彼はグロさやホラーといったものを一種の表現としては用いているものの、内容としては実に社会派なスリラーだったり、社会派サスペンスだったりすることが多いので、特に大人のキミにとっては贅沢な娯楽作品として楽しめるのだと思っていたりするのだ!
そんな中でも一押しなのが「予告犯」
そう、そんな社会派なテーマを取り扱ったサスペンスを数多く書いてきた筒井哲也の作品の中でも、俺が一番推しに推したいのが何を隠そうこの「予告犯」なのである。
正直映画の方の出来はどうなのか見に行っていないから全くといっていいほどわからないのだが、少なくともマンガ版は恐ろしくリアルな作品になっているのである。
今回のテーマは「ネットでの私的制裁」
現実と仮想、バイオテロ、表現規制などといった様々なテーマに切り込んでいるこの筒井哲也が、この予告犯ではネットでの私的制裁、つまりネットリンチについて描いているのである。
勿論そうした重苦しい題材に対して耐性が無い人にはオススメ出来ないだろうが、そうした現在のリアルを描いていながらも、しっかりとエンターテイメント性を失わずに書いていけるというのは、もはや彼に与えられた天賦の才といってもいいのだろう。
インターネット上の動画投稿サイトで犯罪予告を繰り返し、実際にその予告を次々に実現して行くシンブンシという人物を描いた作品なのだが、現代の情報社会におけるテロルの恐怖や、様々な日本の歪みも描かれていて、そのバランスが絶妙。
読んでいて胸が重くなり、そしてハラハラさせられっぱなしの一級エンターテイメント作品になっているのである。
なんか良いことばっかり書いてしまった気がするものの
さてと、何だかベタベタに褒めちぎってしまったような気がする物の、確かに人を選ぶ作品であることは間違いないだろう。
特にグロテスクな描写はそれ自体が目的としてあるわけではないものの、そう言うもの自体が1マスでもあるという事が生理的に受け付けない人に取ってはオススメ出来ないだろうし、社会派なテーマの作品をそもそも読みたくないという人もいるだろう。
また、明るい作品ばっかり読みたいという人にも向かないだろう。
俺、景虎はこの「筒井哲也」が描くようなダークで、胸が重苦しくなるような作品を好んで読む悪趣味な人間なのだが、もしも、キミがそういう物が苦手なのだとしたら読まない方がいいのかもしれない。
だが、言っておくぞ。
食わず嫌いをせずに読んでみるといい。
人を選ぶ作品だとは思うが、読んだあとに残る物は大きいと保証しよう。
さてと、最近は漫画の紹介ばっかりしていて「本当に景虎君は小説を読むの?」とそろそろキミになじられそうな気もするが、ひとまずは「予告犯」について紹介してみた。
この「筒井哲也」という漫画家の作品は個人的に大好きで、ずっと昔から追ってきてはいるのだが、ワンパターンになりつつも、いつもいつも違う切り口で来てくれるから読んでいて本当に楽しくてしょうが無い作家なのである。
キミはグロに耐性がないかもしれないけれど、もし少しでも興味が沸いてみたら是非とも読んでみてほしいものである。
そして、是非読んだ暁には「景虎君読んだよ」とTwitterなどで伝えて頂きたい。
なぜか?
そりゃあ、キミがどう思ったのかが俺にとって一番気になることだからなのだよ!
是非、気に入ったらその言葉を、俺に聞かせてくれたまえ! 約束だぞ!
良き本に光を、感想の灯火を。
では、失敬。
ちなみに、もしも読んで気分が悪くなったら「恋は雨上がりのように」を読んでお口直しをしよう。これはときめきに満ちた作品なので、人を選ばず楽しく読める作品だ。
詳しい内容は下の記事を参考にして頂きたい。